のんきにうたかたの想いを綴ります。
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『有頂天家族』 * 森見 登美彦
有頂天家族有頂天家族
(2007/09/25)
森見 登美彦

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今年ももう終わる。
いろんなことを振り返る暇もないくらい、毎日が充実しっぱなしのわたしが、
ひとつ振り返るとすれば、この夏、京都へ行った。

京都の街を縦横無尽に自転車で駆け抜けた記憶も新しく、
そのあとに読んだこの有頂天家族は、
よりわたしを京都の迷宮へと連れ出してくれたのである。

『夜は短し歩けよ乙女』ももう一度読みたい。
そうしたら、あの夏走り抜けた街並みとちゃんとつながって、
より鮮やかに読めそうだもの。

この有頂天家族は、狸と天狗と人間のはなし。
小説の冒頭において、その全てが語られてるわけだけれど、
この作家、ほんとうにどうしてそういうことが上手にできてしまうのだろう。

軽い語り口でするすると始まって、
気がつけば虜になっておしまいのページをめくってる。
でも、そういう軽さとスピードの中に、ちゃんと真理がちりばめられてる。
家族を愛することとか、
女の子をすきになることとか、
そういうありふれているけれど、とても重要な真理が。

わたしのお気に入りは、
弁天(めっぽうな美人)に想いを寄せる赤玉先生(老天狗)が
天狗にとってとても重要な物をほいほいあげてしまう様を見かねた狸(天狗の教え子)とのやりとり。

「いいかげんにしろ。なんで、そう何でもかんでも、やってしまうんです!」
「まだ分からんか、愚か者め!」
偉大なる恩師は叫んだ
「喜ぶ顔が見たいからだ!」


ああ、ほら、真理でしょ?





『さよなら、サイレント・ネイビー』 * 伊東 乾
さよなら、サイレント・ネイビー―地下鉄に乗った同級生 さよなら、サイレント・ネイビー―地下鉄に乗った同級生
伊東 乾 (2006/11)
集英社

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最近知り合った大人と、
なんとはなしに本の話になった。

その方は静岡から東京まで新幹線通勤をされてるそうで、
2時間なにしてるのですか?という問いからこの話題へ。

幾つの方なのか、定かではないけれど
少なくとも一回り以上違う人で、
それもきちんとお話をさせていただいたのはたったの1回。
だけれど、そうなっちゃうのだ。

すきな作家。
最近おもしろいと思った本。
逆に「焚書にしてやろうか」(←彼女の表現をそのまま引用)と思った本。
見事に趣向がそろったので、彼女にひとつ聞いてみた。
ここ最近の一押しは?

今年読んだ本の中で、
一番おもしろかったのは小説ではなくルポルタージュだという。
わたしが読んだことのない分野、
どうなるかしら?と手をとったらば、そういうこと?!

面白くてページをめくるのが止まらない。

この本は1995年3月20日、地下鉄でサリンがまかれた事件について追いかけている。
著者の肩書きというのは、
元刑事でも元検察でもマスコミ関係者でもなく
巻末にはこのように記載されている。
「作曲家=指揮者、東京大学助教授」

この肩書きだけだと、つながりがみえてこないのだが、
事件と著者を結びつける糸は1人の男に端を発す。

あの日、地下鉄にサリンをまいた実行犯に
豊田亨という男がいた。
彼はオウム真理教の「科学技術省」次官であり、
その以前は東京大学で物理を学んでいた。
物理学科を卒業した後、東大の院へ進み、修士を修了し
博士課程進学直後に出家したのだという。
この男。
この男と著者。

ふたりは大学の同級生であった。
実験を一緒に行うペアであり、
レポートや試験の際にノートを貸し借りする、そういう「仲」だったのだ。

そんな友達がある日突然失踪し、
3年の年月を経てこのような最悪の事件の実行犯となっていた。

そのことが著者を駆り立ててるのだ。
そもそも大学で物理を専攻していた人が音楽家になっているという経歴もおもしろいのだけれど、
それよりもこの話の行き着くところがすごい。

オウムの行っていた洗脳やマインドコントロールについて
丹念に調べ、
さらにはこのテロがなぜ、おきてしまったのかを丁寧に分析してゆく。

1995年の事件から1945年に終結した第二次世界大戦の悲惨な末路、
ひいては2005年年のライブドア事件。

すべてが同じことの繰り返しと著者は言う。

とりわけ第二次世界大戦の話はびっくりすることばかりだった。
覚醒剤、特攻(しかもこの特攻がイラクの自爆テロなんかにも関連してくるだなんて、誰が知ってるというの?)、陸軍、海軍、実行者と発案者。これらのキーワードにまつわるめくりめく話。

「あとは読んでよ」としかいえない。

サリン事件といえば、わたしは小学生だった。
なんだかすごいこと起きたのかということだけで、思考停止だった。
無理もない。小学生なんて、そんなもんだ。
隣のクラスのだれそれがあなたのことすきなんだってとか、
そういったことの方が重大事件の時代ではないか。
わたしは実行者の豊田亨という男の名前すら、今の今まで知らなかったのだから。
麻原が弱視だったことも知らなかったし
オウムの教義がヨーガに因っていたことすら知らなかった。

でも見えてきたのはそんなことではない。
マスコミは語らない加害者だけれど被害者という構図。
(教団に無理やり出家させられたということ)
豊田という男がいかに純粋で頭がよく、優れた人格者であるかということ。
(現に、見返りも何もないのに大学の同級生が自分の事件について何年も洗いなおしてくれるのだ。よほど人望がなけりゃやってもらえない)
それと、優れた人格者である者ですら、
あのような事件を実行させてしまう、マインドコントロールの恐ろしさ。

なにより、二度とこのようなことを起こしてはならないという
著者の強い訴え。

そのために、わたしたちは、彼らの声をきくのだし、
覚えておくのだし、知っておくのだ。

無駄にはしないよ。じゃなけりゃ、気がついたときには
第三次世界大戦の渦中ということになりかねないのだから。
『世にも美しい数学入門』 * 藤原正彦 / 小川洋子
世にも美しい数学入門 (ちくまプリマー新書) 世にも美しい数学入門 (ちくまプリマー新書)
藤原 正彦、小川 洋子 他 (2005/04/06)
筑摩書房

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ひとつ読み解くともうひとつと繋がってゆく、
読書の連鎖。

『博士の愛した数式』に、
『国家の品格』の藤原さんが関わっていたとは知らなかった。

わたしが『博士の愛した数式』を読んだのは、
かれこれ3年ほど前だったもの。
ここでも藤原さんは美的感受性が強い人ほど、
天才的な数学者になれるとおっしゃていて、
美と数学が関わっていたのだなんて、
これを読むまでまったく気がつかなかった話だ。

素晴らしい公式ほど、
圧倒的に美しいらしいのだ。

最近、完璧な美しさについて
考えをめぐらせたばかりであるわたしにとって、
だいきらいであった数学が
このように完璧な美しさを持ってアプローチをしてくるだなんて思ってもみなかった。



『国家の品格』 * 藤原 正彦
国家の品格


今まで新書なんて読んだことがなくて、
いつも物語の中に埋もれてまばかりだったわたしが、
ここ最近、物語以外の本も手にするようになりました。

オーソドックスにこのようなベストセラーに手を出してみたら、
これが当たり!
やはり売れるだけ、ある。

この本の最も評価できるところは、
論理的思考に重きをおく数学者が書いているというところにあると思う。

情緒や武士道などの精神論を重点的に、
美しさや人のあるべき行動基準などを
とてもわかりやすいことばを使って丁寧にかかれている。

外国語よりも読書を!の触れ込みに
ひとまず、安堵。
日本語で考える能力がなければ、
いくら外国語というツールを持っていても
発信できるだけの中身がないという話。
無駄なことこそに情緒や美的センスを育てることができるという。

毎日、こうも無駄に本を読んでるわたしが報われた瞬間であります。

写真は、情緒あふれる場所にて撮影しました。
それにしても、最近携帯電話を変えたのだが、
画質悪いなぁ。


『天国はまだ遠く』 * 瀬尾 まいこ
天国はまだ遠く (新潮文庫) 天国はまだ遠く (新潮文庫)
瀬尾 まいこ (2006/10)
新潮社

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最近、思うところあってきちんと本を買うようにしてる。
古本の場合もあるけれど。
新刊の場合、大抵は文庫になってしまう。
それでも、自分の身銭を削って手に入れるのだから(大袈裟?
なんでも得てやる!の気概で読む。
その中の1冊。

瀬尾さんの描く物語はいつでもシンプルな美しさがあって、
不真面目さがないところがすきだ。

いつも読むときのわたしと同じ年齢の女の子
登場する偶然にも、もう、慣れた

気楽に読める文章も手伝って
1日かからずに読み終えてしまったのだけれど、
最後の最後で「あ!」と声を出してしまった。

人生に疲れた23歳のOL
田舎暮らしを通して見つけた今後。
未来へ歩き出すその旅立ちの日
田舎暮らしで世話になった田村という若者から言われた一言。

それに、あんたって、自分が思ってるんとは全然違うしな

これ、この一言にわたしは「あ!」と声を出しちゃったのだ。
この言葉。
わたしが最近誰かさんに言われた、あのことと同じ。

自分が思ってる自分
他人に見えてる自分

ふーむ。
181ページに詰まった最後の最後にこの言葉
わたしに問いかけるこの言葉

読んで損する本
この世に存在しないことは充分にわかってるつもりだけれど、
まさかこんなにもまっすぐにそう思えるとは。

だって、362円なのよ、この文庫。
362円に哲学的価値がいかほどあると思って?



プロフィール

まりえ

Author:まりえ
日々、のんきに暮らしてます。

季節が少しずつ
移ろいでゆくように
わたしも
少しずつ
移ろいでゆこうと思います。

おたよりはコチラへどうぞ。

そして、引越し前(アメブロ)の記事は


コチラ。

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